2025年の糸島新聞暑中号では、「糸島で出会う世界のともだち」を取材しました。今回はその時のこぼれ話をささ日でお届けします。
糸島市志摩師吉にある福岡インターナショナル・イスラミック・スクールに通うハッサンさん。エジプト人の両親は5人の子どもを連れて来日し、第6子であるハッサンさんは日本で誕生しました。福岡市東区で育ち、現在は九大学研都市に住んでいます。

スクールではエジプト語か英語を使う決まりになっていますが、小学校までは公立に通っていたこともあり、日本語の方が得意だと言うハッサンさん。両親とはエジプト語、幼少期から日本に住む姉たちとは日本語で会話するのだそうです。

すっかり日本に溶け込んで暮らしているハッサンさん。実はお刺身やお寿司が大好きなのだそう。家族でよく行く回転寿司では、オニオンサーモン、バジルチーズ、マグロなどのネタがお気に入り。生の魚は好きだけど焼き魚は苦手、小学校の給食で出ていた魚のフライはかなり口に合うといいます。
ハッサンさんはイスラム教徒であるため、ハラールと呼ばれるイスラム法で許されたものしか食べられません。とはいえ魚は一部を除いてほとんどのものを食べることができ、鶏肉や牛肉もイスラム法に則った方法で処理されていれば問題ありません。最近は糸島でもハラール肉が気軽に手に入るため、食卓にのぼることが多く嬉しく思っているとのこと。
このように食を楽しむ一方、イスラム暦のラマダン月には、毎年サウムと呼ばれる断食を行なっています。この30日間は、日の出から日没まで一切の飲食が禁止されているため、夏の昼間でさえ水も飲まずに過ごします。「子供の頃は水だけは飲んでたけど、次第に慣れてきて10歳ごろからは飲まなくても平気になった。断食中も普段と何も変わらない」とハッサンさん。人によっては外にあまり出ない、エアコンをつけるなど工夫をして、長い断食の期間を乗り切るのだそうです。

そんなハッサンさんの夢は、ヨーロッパのプレミアリーグで活躍するプロのサッカー選手になること。空き時間を見つけてはサッカーの練習をしたり、サッカーの試合を録画で見て研究したりしているそうです。強靭な肉体や精神力が求められるアスリートになるために、栄養豊富で美味しい食事も断食も、どちらもが貴重な糧になりそうですね。継続は力なり、日本生まれのエジプト人サッカープレイヤーの誕生に期待しています!