2月は別名梅見月とも言われ、近所の梅の木は可愛らしい花が満開になっています。
糸島で「梅」が付く地名といえば「瑞梅寺」。
瑞梅寺に梅の名所があるのかと思い、糸島新聞新春号でお世話になった井上さん(ふるさと体験館のぞみでおばあちゃんたちが集うサロン、ひなたぼっこ輝きを運営)に聞いてみると「瑞梅寺にそんなところはないよ」とのこと。
その由来が気になり本やネットで調べてみると、どうやら瑞梅寺には昔「瑞梅寺」という寺があったようです。
江戸時代の博学の儒学者、貝原益軒著「筑前国続風土記」によると、瑞梅寺は「天徳山授寶院と号し、康暦元年(1379年)、乙丸美濃守種綱(おとまるみののかみたねつな)と楊井入道道寂(やないにうとうとうしゃく)が創立した」とあります。
場所については「井原村より井原山に行道の西の山のかたはらにあり」とあり特定できませんでしたが「・・・目を遊はしめて遠く眼望すれは、眼界慶しくて絶景の佳境也」と書かれています。
瑞梅寺には現在、寺が1山、神社が4社あります。
最北の志賀(しが)神社に目を向けてみると「福岡県神社誌」という本に、瑞梅寺の創立者2名と同じ名、同じ年((天授5年(1379年))と書かれています。
志賀神社の宮司さんに話しを伺うと「明治時代に神仏分離令が出される前の時代。寺も神社も同じ人が関わったのはおかしくないのではないか」と話してくれました。
井上さんに志賀神社を案内してもらいました。
これまでの社殿の修復状況などは分かりませんが、約640年前からここにあると思うと、思わず背筋がピンと伸びるようです。
境内には推定樹齢350年以上のイチョウがあり「秋は黄色いじゅうたんができてそれは見事」と井上さん。
葉が色付くと平野部からでもその姿が見えるようで「先輩から昔『葉が黄色くなったら麦の種を蒔く合図』」と教えてもらったそう。
瑞梅寺の跡は分かりませんでしたが、瑞梅寺と何かしらのつながりがあったかもしれない志賀神社と、糸島の地名を辿る面白さを知る良い機会となりました。
志賀神社
住所:糸島市瑞梅寺1383
(参考文献)
・「怡土志摩地理全誌 怡土篇」(由比章祐 平成元年糸島新聞社発行)
・「筑前国続風土記」(貝原篤信 1973年9月名著出版)
・「筑前国続風土記附録」(1978年 文献出版)
・「福岡県神社誌」(昭和20年 大日本神祇介福岡県支部)
・「鎮守乃杜」(平成14年 糸島神職会)