まさに、魔法のような時間だった。
夏至の夕方に登った可也山の展望台。
海を向いて望んだ夕暮れの空は曇っていた。
夕日は望めないと、諦めて下山しようしたときに、ふっと薄雲の隙間から夕日が射した。
その瞬間、芥屋の大門から海を渡る光の道が現れた。
夏至の日だけに通じる道だ。
糸島の夏至というと、桜井二見ヶ浦の夫婦岩の間に落ちる夕日が有名だが、可也山展望台から望む、芥屋の大門からの光の道も負けず劣らず美しい。
夢中になって見入ってしまう。このまま展望台に居続けると日没を迎えてしまうのに、もっと見続けていたいと思ってしまう。
マジックアワーであり、逢魔が時でもあった。
妖しくも美しい、可也山からの夏至の夕日だった。