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「農業を通じて日本を元気に!」農家時々ヒーロー、JA糸島青年部

長引くコロナ禍で人々の気持ちも曇りがちな中、鮮やかな5色のスーツをまとったお米のヒーロー「コメンジャー」が糸島各地の田んぼや保育園などに現れ、子どもたちに笑顔と元気と食欲を届けている。

田植え機に乗って颯爽と登場するコメンジャー
「手洗いうがいをして、力いっぱいメシを食べるんだ!」

福岡の県産米5品種をキャラクターにした「ヒノヒカリ」「ユメツクシ」「ニコマル」「ミルキークイーン」「ヤマダニシキ」の5人のキャラクターに変身するのは、JA糸島青年部に所属する若手農家の面々。コロナ禍でイベントが軒並み中止になる中「子どもたちを元気にしたい」と、市内の保育園へ出向きアクションショーを開いたり、米作りイベントで子どもたちと一緒に農作業をしたりしながら、食や農業の大切さを伝えている。

目をきらきらさせながら、ヒーローの力になろうと進んで作業を手伝う子どもたち

JA糸島青年部部長の林耕作さん(34)は「ショーの後「子どもたちが給食を残さず食べた」などの声を聞くと嬉しいですね。子どもたちにとって、ヒーローの言葉ってすごい影響力があるんだなぁと思うと、これも立派な食育活動なんだと実感します」と誇らしげに話す。

苦労するのは、ショーのアクションシーン。素人では動きがわからず、戦隊もののテレビや動画を見て勉強する。農繁期でも、仕事を終えた後に公民館を借りて練習するといい「部員の多くが子育て世代。仕事しながらの活動は大変ですけど「子どもたちのために」と皆集まってきてくれます」と、自身も3児の父である林部長は頬を緩める。コメンジャーのテーマソングを制作する話も進めているそうで、食育という大きな使命を担うヒーローに妥協はない。

ショーでは米の天敵「カメムシ一味」との戦いを繰り広げる。台本、衣装、小道具まですべて手作り

コメンジャーの活躍の元には、JA糸島青年部の「食や農業の大切さや糸島の魅力に気づいてほしい」という熱い思いと、それを形にしたさまざまな取り組みがある。

毎年12月に開かれる農産物直売会「ちかっぱ糸島」は、青年部が主催するメインイベント。精魂込めて作った農産物を自分たちの手で販売し、飲食ブースでは糸島産食材のみで作った「農家メシ」を振る舞う。そして、コメンジャー誕生のきっかけともなったステージイベントで会場を盛り上げる。そんな若手農家たちの、熱いこだわりと真心の込もったおもてなしが、徐々に人々の心に染み入り、年々ファンを増やしている。

日頃の感謝を「ちかっぱ」込めて、野菜を丁寧に箱詰め

林部長は「普段は当たり前のように作物を作っているけれど、消費者の声はなかなか聞けない。イベントでの対面販売やアンケートを通して初めて「おいしかった」「また買いたい」などの声が聞こえてくる。すると自分たちが思っている以上に、消費者の方が感謝してくれ、大切に思ってくれているんだなぁと感じますね。いいものがたくさん採れた時も嬉しいですけど、最終的にはそういった消費者の声が一番嬉しく、励みになります」と笑顔を輝かせる。

2020年の「ちかっぱ糸島」は、コロナ感染拡大防止のためドライブスルー形式で開催。窓越しのコメンジャーに子どもたちは大興奮!

総勢82名という、全国の青年部の中でも大所帯のJA糸島青年部。今後はこれまでの活動を継続しつつ、SNSを活用した販売戦略やPR活動により力を入れていきたいと意気込む林部長。「部員一人一人が個人で宣伝できるようになれば、より多くの人にアピールできる。そのためのSNS勉強会も開く予定です。農家は保守的でアナログなので、まず学ぶ機会が必要かと(笑)」と明るく笑う。

青年部の事務局として、会計や資料作成などを担当しているJA糸島営農企画課の笠さんは「糸島は若手後継者が多く、青年部の活動も活発。コメンジャーのような全国的に珍しい活動もあり、精一杯バックアップしていきたい」と力強く話していた。

コロナ禍の今だからこそ「自分たちにできることをやろう」と立ち上がる糸島の若手農家たち。今後の活躍がますます楽しみだ。

快くインタビューに答えてくれた青年部三役の方々(左から吉村副部長、林部長、前田県青協委員)とJA糸島の笠さん

若手農家のつぶやき、コメンジャーの活躍はJA糸島青年部の公式インスタグラム・Facebookで発信しています!

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この記事を書いた人

奄美大島生まれ、神戸育ち。2015年に初めて糸島に来たとき、青く透明な海に感動しました。自然が身近に感じられる糸島がとても気に入っています。育児がひと段落したら、釣り、登山、サイクリング…とやりたいことがいっぱい。海や山を見るたびうずうずしています。