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福井神楽保存会、福吉中の子どもたちへ文化継承20年

糸島新聞 暑中号(2022年7月15日号)

福吉中学校には総合学習の時間に地域の伝統文化を学ぶ選択授業があります。

1年生の時に「福井神楽コース」「福祉コース」「吉井浜思い出の歌コース」の3つから選ぶのですが、途中でコースの変更はできず、3年間1つのコースを時間を掛けて学ぶようになっています。

今回は福井神楽コースを取材させてもらいました。

この総合学習の時間は、2002年からスタート。今年で20年目を迎えます。神楽の舞手が年々減少傾向にある中、後継者の育成をしたい保存会と、地域の伝統芸能を守り伝えたい学校側の意見がマッチしてこの取り組みが始まったそうです。

現在、福井神楽に関わるほとんどが、福吉小中学校の卒業生だと言います。

福井神楽保存会のメンバー 左から長尾さん、徳永さん、瀬戸さん

総合学習の時間には、福井神楽保存会のメンバーがゲストティーチャーとして交代で指導に来てくれます。
生徒は1年間、太鼓、舞、笛の各グループに分かれて練習をします。

中学校の先生たちに、総合学習の時間が子どもたちに与えている影響を尋ねると、
「総合の学習の時間は、慣れ親しんだ地域の人が来て指導をしてくれることもあって、普段の学習とは違い子どもたちがとてもリラックスして楽しんでいる様子が伝わってきます。神楽の面や剣などの道具を使えるのも面白さの一つなんでしょう。伝統を継いでいる意識が果たして本人たちにあるか分かりませんが、笛や太鼓の音色、神楽の舞を見聞きした体験は生きていると思います」と話してくれました。

四本剣の台詞練習

それぞれの役の意味、台詞、動きを一つ一つ丁寧に教える徳永さん。徳永さんが吹く笛の音色に合わせて、まだおぼつかない足取りで動きを確認していく子どもたち。途中、3年生が後輩のお手本となって教える場面もありました。さすが先輩、頼もしいですね。

自身なげにもぞもぞと台詞を言う子どもたちに、
「大きな声で言わんと、お客さんに聞こえんぞ!」徳永さんの喝が入ります。

太鼓をたたく長尾さん

ドンドドン、ドドン、ドドン、軽快な太鼓のリズムが武道場に響きます。
和太鼓の音色、いいですね〜

楽しそうに太鼓を叩く子どもたちに「太鼓のリズムの譜面はあるの?」と聞くと、
「ないよ!体でリズムを覚えるんよ!」と元気な声が返ってきました。(すごい!)

瀬戸さんの周りに生徒たちが集まって和やかな笛指導

篠笛は綺麗な音が出せるようになるまで、結構時間が掛かります。
笛を吹く時の姿勢、指の押さえ方、唇の形に気をつけて、少しでもうまく音が出せると、みんなうれしそうな顔になります。中には、思うように音が出せず、難しい顔をしている子もちらほら。

一人一本ずつ渡される篠笛は卒業まで自分で管理して大事に使うそうです。
そうやって代々受け継がれてきた篠笛は、次の後輩たちへ。

手描きの譜面


笛の指の穴が黒く塗りつぶされた譜面を見ながら、真面目に練習する子どもたち。
瀬戸さんが、笛の穴に息をどう吹きかけるか、笛の中で息を回すイメージを絵に描いたもので説明します。

「こう?どう?」笛を口に一音一音確かめながら音を出しては、首をかしげるの繰り返し。
「湿度がある方が音がよく出るけん、風呂に浸かって練習せんね」という瀬戸さんからのアドバイスも(笑)

瀬戸さん


町で声をかけられたり、子どもたちとのふれ合いや、つながりがうれしいと瀬戸さん。
福井神楽保存会創設からのメンバーで(当時22歳)長年神楽を神社に奉納してきました。
福吉小中学校での神楽指導にも最初から関わっています。

「一人でも多くの子が福井神楽継承の担い手になってくれたらありがたい。今後は子どもたちが練習した成果を発表できるような場を多く設けていきたいと思っている」と夢を語ってくれました。

神楽を舞う子どもたちの姿、私も見てみたいです!

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この記事を書いた人

Uターンで20年ぶりに糸島に戻ってきました。
移りゆく糸島の風景に昔の記憶を重ねながら、
テクテクお散歩するのが好きです。