12月10日〜12日までの3日間、志摩初の可也コミュニティセンターで、「志摩地域の未来のコミュニティセンター」の施設計画の展示発表が開かれた。糸島市が九州大学と連携して地域課題の解決を図る「糸島市協定大学等課題解決型研究事業」として取り組んでいるものだ。
現在の可也コミュニティセンターは2030年に解体し、現在の「総合健康センター ふれあい」がコミュニティセンターとして改築される予定。新しいコミュニティセンターの施設計画を、九大工学部建築学科の建築計画と都市計画の2つの研究室の修士1年生が中心になって研究をしている。今回の展示はその中間発表という位置づけだ。
2019年度は主に可也コミュニティセンターの利用者やPTA、周辺の事業者、NPO法人などにコミュニティセンターへの要望や初地域の思い出などをヒアリング調査した。
今年度はヒアリングした内容と、「ふれあい」の建築設計や改築条件を照らし合わせて、施設の具体的な間取りや、外周部の計画図を作成。立体的な間取りや空間の使い方を見学者にわかりやすく伝えるために、1/100スケールの模型を制作した。各部屋にテーブルや棚、人型の模型などを配置し、実際の利用のイメージをつかみやすくしている。
研究メンバーの一人、九州大学大学院人間環境学府1年の境井美恵さんに話を聞くと、模型は3人で約1ヶ月かけて制作したという。「細かいオープンラックも全て手作り。一般のカッターは刃の角度が60度ですが、30度の鋭利な模型用カッターを使って、1ミリ単位で切り貼りしています。模型を壊さずに運ぶために、運搬する車の運転のブレーキの踏み方にも気を使いました」と、細かく丁寧に作り込まれている模型の制作の裏側の苦労を語った。
制作者の細やかな工夫と苦労の甲斐もあり、展示の見学者たちは「通学合宿のときのお風呂もほしい」「クラフトのイベントなどは多くの人が回遊するので、大屋根広場をもっと広くしてほしい」など、模型を見ながらさまざまなイメージを膨らませていた。
コミュニティセンターの施設計画の研究は、今回の展示で集めたアンケートも考慮し、来年度以降に引き継がれるという。ぜひとも来年度も改善案の建築模型を制作し、今年の建築模型と並べて比較できるような展示発表をして、新しいコミュニティセンターづくりの経過を住民に見えるようにしてほしい。