子どもたちに届け!
身近な大学がもたらす学びの場
子どもたちに大人気の糸島市のイメージキャラクターいとゴン(写真右)が、実は2代目だとご存じですか?
いとゴンの顔が糸島市をかたどっていることは有名ですが、初代いとゴン(写真左)は、今よりも地形が細かく再現されていました。かわいさや親しみやすさが増した2代目いとゴンは、市民から愛されるご当地キャラクターになっていますね。
この2代目いとゴンは、2010年から始まった糸島市と九州大学の連携協定に絡み、九州大学の先生によるアドバイスを元に生まれました。
2018年9月に移転が完了した九州大学と糸島市は、協定を結んで以来、いとゴンの例以外にもさまざまな事業を協力して行ってきました。その数は何と毎年100件を超えます。
連携事業の一つに、九州大学の学生が先生となり、市内の小学5 年生に自身の研究内容を分かりやすく教える「九大寺子屋」事業があります。2015年に1校で始まった九大寺子屋は、実施する小学校が年々増え今年度は市内13校に拡大。
先生の一人である法学部4年の星野恭平さんは「将来について考える機会が自分には少なかった。小学生のうちからその機会をもってほしい」と話します。
星野さんの授業は、題して「法律とももたろう」。
「鬼ヶ島に勝手に入って襲いかかり、けがをさせたももたろうって悪くないのかな?」鬼が悪者と思われているこの昔話に、法律の観点から問い掛けます。クイズ形式の授業に子どもたちは食い入るように前を見つめ、頭を悩ませていました。
積極的に手を挙げる子どもたちの様子を見ていた担任の山本大貴先生は「初めて知ることが多いのでみんな授業に集中している。生き生きしていますね」と言います。
九大寺子屋を主催する糸島市役所企画部地域振興課の中村勇喜さんも「寺子屋のゴールは学力の向上ではなく、九大のお兄さんお姉さんに憧れを持ってもらうこと」と語ります。
九大寺子屋の実施回数は、多い小学校でも年に3回。学力に直接結びつかずとも、中村さんが言うように「憧れをもつことで夢ができる、選択肢が広がる」ことに意義があります。
九大寺子屋の他、夏休みには、小学生を対象とした水素エネルギー関連施設の見学と実験や、中学生を対象とした「伊都塾」を九州大学の講義室で開催。「中学生のための九大模擬授業」は10月の「九大祭」と併せて行われ、終了後にはキャンパス内を見学できます。
中村さんは「実は、九州大学から一番近い駅は福岡市の九大学研都市駅ではなく、糸島市の波多江駅なんですよ。糸島市には大学関係者が2000人ほど住んでいますしね。大学がもっと市民の身近なものになってほしい」と話します。
たくさんの連携事業を通して、徐々に地域に浸透している九州大学。中村さんが「九大寺子屋で学んだ子どもたちが、いつか教える側になって戻ってきてくれるとうれしい」と言うように、身近な大学が将来を照らす灯台のような存在になると良いですね。そうなっていけば、九州大学という学びの場がある糸島の魅力はもっと増すでしょう。
【取材者】ライター 南明日香
※この情報は2020年1月17日現在の取材情報です。
【糸島市役所 企画部 地域振興課】
福岡県糸島市前原西1丁目1-1
電話 092-332-2062
※地域振興課 定住・学研都市係は、2020年4月1日からブランド・学研都市推進課 定住・学研都市係に変わりました。
団体名 糸島市役所 企画部 地域振興課
住所 糸島市前原西一丁目1番1号
電話番号 092-332-2062
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