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地域伝承の思いを幟旗に託して 〜大入白山神社 大じめおろし〜

10月4日、海岸からほど近い糸島市二丈福井にある大入白山神社にて、大じめおろしと幟旗奉納の奉告祭が行われました。毎年10月第一日曜日に行われるこの行事は、地元住民による手作りのしめ縄を掛け替え、祝詞を捧げます。10月第2日曜日に行われる秋の大祭、福吉の神幸祭の準備です。

今年はコロナの影響で、10月11日に予定されていた神幸祭の神輿行列は残念ながら中止となってしまいましたが、1998年以来22年ぶりに大入白山神社に一対の幟旗が奉納されました。

声を掛け合いながらクレーンで幟旗を立てます

米寿を迎えても現役バリバリで造園業を営む鬼嶋さんが、クレーンを操作して幟旗を立てます。

「成功して当たり前、失敗は許されんからですね。幟旗を作るのも、何の言葉にするか、誰の名前を入れるか、順番はどうするか、気を配るところがたくさんあって、とにかく出来上がるまでが大変で」と鬼嶋さん。

みんなで力を合わせ柱を支えて
境内の長老 イチョウの木をバックに 力強い幟旗

・神徳無窮(しんとくむきゅう):神様の徳が果てしなく続きますように

この幟旗は、コロナ撲滅、戦後75周年、敬老祝(米寿5名 還暦2名)も同時に祈願して作られました。ここに住む地域の皆さんが、災いなく幸福で健やかに過ごせるよう、この地を守り繋いできてくれた先人たちと神々への感謝の意も込められています。

数日前から拝殿に用意されているしめ縄のわら束
人の手で一つ一つ作られる大じめ縄

「このしめ縄作りも、人から人へ作り方を伝承していかなくてはならない。縄のより方も、右手を上に両手で挟んだわらを手前ではなく、右手を先の方へ伸ばすようにしてよっていくのだけれど、これが案外難しくて、教えてもらわなければ上手くできない」と区長の廣澤さんが話してくださいました。

廣澤さんは子どもに好かれていて、小学1年生の子どもたちが家のインターホンを押して「区長さん!遊ぼう!」と訪ねてきたりするといった話も聞きました。実にほほ笑ましいです。

暖かな陽に包まれた境内は 終始和やかな雰囲気でした

大入の人たちは幼なじみの方が多く、昔からお互いをよく知っていて、気の置けない間柄の仲の良い雰囲気が伝わってきて、こうして地域の方が集まって、人づてに祭事の準備をしている姿がとても温かく、神様もさぞお喜びだろうと感じました。

大しめ縄も新しいものに掛け替えられました 長さを揃えて調節します
紙垂(しで)も半割の竹をしめ縄に差し込んで一つずつ通し、手作業で取り付けられました
立派な幟旗と、干し草の香り漂う大しめ縄

拝殿の中には大入の歴史を語る絵も納められています。これは捕鯨の絵。大入の入江にクジラが来ていた事実を知ることができます。

人が人に伝えていかなければ、その場所がどういった土地で、そこで何があったのか、人々がどう暮らして生きてきたのか、後世に残していくことはできません。

地域伝承を胸に、自分にできる事を精一杯されている方々が、どこの地域にもいます。私たちは、子どもたちの未来のためにも、自分たちが住んでいる土地を守り、地域に根付いている文化を受け継いでいく姿勢が大切なのだと、自分にできることは何か、改めて考える日となりました。

向かって右側の狛犬

糸島に5社ある白山神社の一つ、大入白山神社の狛犬が口にくわえている玉は、彫り師の遊び心でしょうか、中の玉がゴロゴロ動くんです。触ると何かご利益がある?! かは分かりませんが、なかなか珍しい狛犬です。ご自身の手で玉を動かしてみたい方は、狛犬に会いに神社へ行ってみてください。

大入白山神社 (だいにゅうはくさん神社)
福岡県糸島市二丈福井2564

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この記事を書いた人

Uターンで20年ぶりに糸島に戻ってきました。
移りゆく糸島の風景に昔の記憶を重ねながら、
テクテクお散歩するのが好きです。