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今の暮らしが一番楽しい。家族や仲間を大切に、ものづくりを続けていきたい

特集記事「糸島の母ちゃん数珠つなぎ」

「子育て期の女性=母ちゃん」が百人いれば、ライフスタイルや考え方は”百態百様”。地元で、地味に、
地道に活動や仕事をしながら日常を生きる母ちゃんには、魅力と潜在能力と底力がいっぱいです。

そんな糸島の母ちゃんたちをフォーカスして数珠つなぎに紹介していきます。
母ちゃんたち一人一人の生き方は、きっと誰かの道しるべになることでしょう。

数珠つなぎ 第7珠

よしだ ゆうこ

吉田 裕子さん

(11歳女児の母 /糸島歴10年)

結婚を機に仕事を退職。もともと大好きだったハンドメイドへの情熱が再燃しました。

―――これまでのキャリアや、やってきたことを教えてください。

結婚する前は、福岡市内の百貨店で働いていました。

中央エスカレーター前のイベントスペースや催事会場などの企画運営を担当し、商品を魅力的に見せるためのディスプレイを企画したり、必要な展示物や什器を手配したりしていました。

また、紳士服売り場を担当していた時期に、ネクタイやセーターなどのオリジナル商品の企画開発に携わった経験は、今でも深く印象に残っています。色やデザインなどを変えたいくつものパターンを比較しながら少しずつ作り上げ、実際に形になったときは達成感で胸が熱くなりました。

帰りが終電になることもあるほど忙しい日々でしたが、思い描いたイメージを形にしていく作業はとても楽しく、やりがいがありました。

ただ、結婚後は子育てや家庭のことに専念したいと考え、約11年勤めた会社を退職しました。一生懸命になりすぎてしまう性格なので、多忙な仕事と家庭の両立は難しいと思ったんです。

会社勤めの頃はなかなか時間が取れず、趣味のハンドメイドから遠ざかっていたのですが、その頃からまたいろいろな物を手作りするようになりました。久しぶりの裁縫がとても楽しくて、妊娠中は毎日のように赤ちゃん用の服や小物を作っていました。

時間ができたことで、自分が欲しいと思う機能やデザインを盛り込んだバッグも作り始めました。友人から「欲しい」と声が掛かるようになり、次第にイベントなどで販売もするようになりました。

布小物作家として活動し、「自分が使いたい」と思う作品作りにこだわっています。

―――今やっていること、力を入れていることはなんですか?

布小物作家「Bakeratta(バケラッタ)」として、主にバッグを制作・販売しています。

大切にしているのは、「自分が使いたいな、好きだな」と思える作品を作ること。荷物を整理しやすいようにポケットを複数付け、負荷のかかる持ち手に金具をつけるなどの機能性や丈夫さを大切にするのはもちろん、持っているだけで楽しい気分になれるようなデザインを意識しています。

特にこだわっているのはオリジナルの生地。市販の生地だけでは自分のイメージに合うものがなかなかないので、デザイナーの三元さんにイメージを伝えて、シーズンごとにオリジナルのデザインで生地を作っています。

私の一推しは、ドットの内側を迷彩柄やアニマル柄にしたデザイン。シンプルな中に少し個性のあるバッグで、持つ人がちょっとワクワクした気持ちになってくれたらうれしいですね。

作品はハンドメイドイベントで販売することが多く、お客様の反応がダイレクトに分かるのが楽しいです。親子で愛用してくれたり、毎回オーダーをしてくれたり、子どもから年配の方まで、幅広い年齢層の方が気に入ってくれるのが本当にうれしい。

「もう少し小さめのバッグが欲しい」「ポケットを多めに作って」など、お客様からの声が次の作品のアイデアにつながることも多いですね。

仏具店で広報と企画・販売を担当。作家活動の経験を生かした企画を立てました。

―――布小物作家の活動以外のお仕事について教えてください。

作家活動の他に、週に3〜4回、パートタイマーとして仏具店で働き、広報と企画・販売を担当しています。

ペット供養の一環として、飼い主がいつもペットを身近に感じられるようにオリジナルグッズを企画しました。

Bakerattaの生地と同じように、ペットの写真や似顔絵デザインをプリントしたオリジナルの生地を作り、バッグやクッションなどのグッズを制作しています。

このオリジナルグッズは口コミで評判になり、今では元気なペットの飼い主からも依頼が入るようになりました。

また、普段仏具店に縁のない人たちにお店を知ってもらおうと、店内でのマルシェを企画し、これまでに3回開催しました。

作家活動を通じて知り合った仲間たちに、マルシェへの出店を依頼すると、快く協力してくれ、チラシ配りなども手伝ってくれました。開催当日に大雨が降った際には、会場に雨が入り込まないように入り口を覆う養生ビニールを持ってきてくれたことも。

作家仲間には、さまざまな場面で助けてもらっています。

子どもたちにものづくりの楽しさを知ってもらおうと、木工のワークショップを企画し、工場から出る廃材を使って「エコロボ」というロボット作りをすることもあります。子どもたちに学びを提供することで、地域貢献もできればうれしいですね。

作家仲間と家族ぐるみでお付き合い。みんなで子育てしています。

―――糸島で子育てしてよかったと思うのはどんなことですか?

「糸島ハンドメイドカーニバル」や「糸島クラフトフェス」など、糸島にはものづくりのイベントが多く、娘と一緒に見て回ったり、ワークショップに参加したりするのを楽しんでいます。これまで、ハーバリウム作りや、端切れで装飾した木材のウェルカムボード作りなど、個性豊かなワークショップにチャレンジしました。

親子で楽しみながら、娘にものづくりの楽しさを知ってもらう良いきっかけになればうれしいです。

作家仲間とは家族ぐるみでお付き合いをしていて、子育ての面でも助け合っています。

料理上手な友人が娘に料理を教えてくれたり、バレンタインのチョコレートを一緒に作ってくれたりすることも。

遠方のイベントに行く友人のペットを私と娘でお世話することもあるのですが、動物好きの娘には、楽しい経験になっているようです。

困ったことがあったら気軽に声を掛け合える雰囲気があって、みんなで一緒に子育てをしているような感覚です。

いつか糸島に自分のお店を持って、お客様と近い距離でものづくりをしたい。

―――今後糸島でどのように過ごしたいですか?

将来は糸島に自分のお店を持つのが夢なんです。

今は月に2〜3回程度のイベントの時しかお客様に会う機会がないので、もっとコミュニケーションを取りたい。

また、イベントの場には作業道具がないので、お客様からちょっとした要望があってもその場で対応できず、商品を渡すのが次のイベントになってしまうのが申し訳なくて。お店に工房を併設して、できるだけ迅速にお客様の声に応えられる環境を整えたいですね。

好きなことを仕事にして自分のペースで打ち込めている、今の暮らしが一番楽しい。これからもものづくりを続けていきたいです。作家同士のつながりももっと広げて、いろいろな人と一緒にワクワクすることができたら素敵だと思います。応援してくれる家族を大切にしながら、これからも自分の好きな作品を作り続けていきたいです。

―――次の人の紹介をお願いします!

Tシャツのオーダープリントやオリジナル商品の販売をしている「BIGPINK PrintWorks」の清田ナナさんです。

ご主人と一緒にお店を切り盛りする、明るくパワフルなお母さんなんですよ。

―――吉田裕子さん、ありがとうございました!

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