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未来へつながっていく子どもたちに 安心安全な物を届けたい

特集記事「糸島の母ちゃん数珠つなぎ」

「子育て期の女性=母ちゃん」が百人いれば、ライフスタイルや考え方は”百態百様”。地元で、地味に、地道に活動や仕事をしながら日常を生きる母ちゃんには、魅力と潜在能力と底力がいっぱいです。

そんな糸島の母ちゃんたちをフォーカスして数珠つなぎに紹介していきます。母ちゃんたち一人一人の生き方は、きっと誰かの道しるべになることでしょう。

数珠つなぎ 第5珠

さかい   まき
阪井 麻紀さん
(12歳男児・9歳女児・4歳女児の母 /糸島出身 Uターン糸島歴10年)

産院のママ友たちとアロマスプレーを手作りしたのが始まり

―――糸島に戻る前は何をされていたのですか?

新卒で電機メーカーに就職してから3年ほど営業事務職をしていました。その後、東京や熊本など通信系の会社を転々とし、WEB制作などの仕事もしました。

結婚後は不妊をきっかけに、子どもが望めないのなら何か手に職を付けようと、アロマセラピーの資格を取得。自然療法を取り入れる中で、環境のことなども考えるようになりました。そして、アロマサロンをオープンしようとした矢先、妊娠が発覚!

長男を出産後、アロマを使った自然療法で、子どものケアを始めました。産院で知り合ったママ友に「アロマで自然な虫除けスプレーが作れないか」と相談を受け、自宅でママ友たちとアロマスプレーを作ったのが、アロマの工房「香の宮」の始まりです。

家族みんな、家で過ごすことが多いですね

―――糸島での普段の暮らしを教えてください

朝、子どもたちを送り出した後は、仕事や支援活動の業務をしています。ほとんど家にいますね。

観光のお客様を相手にすることが多いので、土日は忙しいのですが、仕事の間は夫が子どもたちを見てくれているので助かっています。

お気に入りの場所は、地元の直売所「志摩の四季」。漁師さんが、その日に水揚げした魚を直で卸すので、とにかく新鮮!マニアックな魚が並んでいることもあります。タイの値段も安いんですよ

海で拾ったシーグラス

とは言っても、私は糸島がそんなに好きじゃないんです

―――糸島での子育てで思うことはありますか?

「糸島は自然が豊かで子育てしやすい」よくそんな声が聞かれますが、良いところばかりではありません。PM2.5などの影響で空気が悪く、子どもが喘息になりました。環境がいいと思って引っ越してくる人に申し訳ない気持ちです。また、私達のような土日祝日が忙しい観光業も多いのに、日曜と祝日の保育がありません。

土地開発も進んでいますが、見た目のまちづくりではなくて、携帯の電波が届かないような自然豊かな場所も残してほしいと願っています。

糸島だけではなく、全国的にそうかもしれませんが、「きつい」「助けて」と言えない空気感に覆われていますよね。「全て自己責任でお願いします」って、社会がそんなに追い込んでどうする、と思うんです。糸島は普段から「大丈夫?」と声を掛け合える雰囲気になったらいいなと思います。

糸島で生まれ育った人も、移住してきた人も、もっと楽しく子育てできたらいいですね。

支援物資の品質を守り、必要な人に届ける。なんでもいいわけじゃない

――― 今、力を入れていることは何ですか?

2012年10月から「糸島しましまプロジェクト」という活動をしています。東日本大震災で被災した福島の子育て世帯や、全国の被災地へ、糸島の捨てられるばかりになっている規格外野菜や、自家農園で自然栽培した野菜などを届けています。2020年8月31日までで野菜の発送は現時点で345回を数えました。

新鮮な食材を丁寧に箱詰め

香の宮では、天然香料のみを使ったお線香と、脊振山系ヒノキを使った木香炉のブランド化を進めています。コロナの影響でおうち時間が増えた今、天然の香りでリラックスするひと時を提案し、お線香やアロマグッズの手作り体験も行っています。

天然素材にこだわった線香とデザイン豊富な木香炉

また、コロナ禍を背景に新しく糸島で立ち上げたのが「とりあえず食べんしゃい」。2020年5月から8月まで子育て中の困窮家庭を対象に、お弁当の無料配布を行いました。

お腹が空いたら、みんなイライラするから、とりあえずお腹を満たしていったん落ち着く。一食作らずに済んで、いつもより機嫌のいいお母さんの姿を子どもたちが見ることができたら、それは未来への希望につながるのではないかと思います。

日頃から、子どもたちが食べている食品の安全性を心配していますので、今回無料配布したような手作りのお弁当を通して、体にやさしい食べ物の存在に気付き、家庭で今後の食生活を見直してもらうきっかけになれば、なおうれしいですね。

お弁当無料配布の様子
手作りこども弁当

未来の子どもたちのために、今、私ができることをするだけ

――― これからやりたいと思っていることはありますか?

「糸島しましまプロジェクト」を社団法人にして子育て支援活動を強化していくことです。2020年7月に法人登記をしました。

今後は支援活動と仕事のバランスを取りながら、地元の資源を地元の人が加工して、地元の売り上げにつながるといった「物・お金・仕事」が循環していくようなシステム作りや商品開発を考えていきたいです。

意識しているのは「恩送り」。何かを返してもらう必要は一切ありません。自分も救われたように、いつか余裕ができた時に誰かに手を差し出す。そのボリュームが大きくなればなるほど、子育てしやすい糸島に、福岡に、日本に、地球になるのではないでしょうか。そう信じています。

―――次の人の紹介をお願いします!

香の宮の商品デザインや、支援活動のチラシ制作など、センスよく仕上げてくれる母ちゃんデザイナー、三元早苗さんです。いつも助けられているんですよ。

――― 阪井麻紀さん、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

Uターンで20年ぶりに糸島に戻ってきました。
移りゆく糸島の風景に昔の記憶を重ねながら、
テクテクお散歩するのが好きです。