前原南小学校の図書ボランティア「おはなしのたまご」に、今年度から私も参加することになり、コロナ禍で続けてきた放送読み聞かせや図書室の飾り付けなど、現在の図書ボランティアの活動の様子を取材してきました。(取材日 2022年6月11日)
子どもが1年生の時から図書ボランティアを始めて6年目になる日高さんは関西出身。読み聞かせを重ねていくうちに「方言っていいね」と子どもたちの意識が変わったのを感じたと言います。日高さんが読む「おこだでませんように(くすのき しげのり 作)」は、生きた関西弁が味わい深く、昨年の子どもリクエスト5位に選ばれる人気ぶり。「放送読み聞かせでは相手の顔が見えないけれど、廊下からかすかに聞こえてくる拍手の音がうれしいです」と話してくれました。
「おはなしのたまご」のメンバーは現在25名。前原南小学校に通う生徒の保護者が大半ですが、OBや地域ボランティアの人も参加しています。私も地域ボランティアの一人です。娘が小学生の頃、転勤先の各学校で図書ボランティアをしてきました。図書館主催の読み聞かせ勉強会や、絵本サークル、イベントなどにも顔を出し、子どもたちと一緒に本を楽しんだ日々。今は高校生の母ですが、また子どもたちと本の時間を共有できたらと、思い切って南小の図書ボランティアに志願したのです。
週1回の放送読み聞かせの他にも、月1回、土曜授業がある日の午前中に、都合が付くメンバーが集まって図書室内の装飾や掲示板製作などをしています。読み聞かせをする本の相談や、子育ての悩み、学校の情報、何気ない会話がとても温かいと感じる空間です。
皆さんの話を聞くと、メンバーには転勤族が多く、知り合いを増やしたいとか、子どもや学校の様子が知りたいからという理由で図書ボランティアに参加される人もいます。私自身もそうだったなと、とても共感できました。実際に読み聞かせを始めると、その奥深さと楽しさにハマる人が多いということも知っています(笑)
先輩ママでもある会長の笹栗さんが、図書ボランティアに参加したばかりの熊谷さんの話に耳を傾けます。図書ボランティアの活動だけではなく、お母さん同士のつながりも大切にしているのを感じます。初めて読み聞かせをする人に選書のアドバイスをしたり、側で見守って励ましたりする笹栗さん。その気遣いが温かく、メンバーにとっては心強い存在です。気さくで話しやすい笹栗さんとは、初対面でもきっと話が弾みますよ。
田中さんは、仕事でお昼の放送読み聞かせのお手伝いができないからと、月に1回の飾り付けに参加。自宅でも飾りを作って、子どもたちに愛情いっぱいエールを送っています。取材の日は「スイミー」を組み立てる作業。テーブル一面に広げた魚のパーツを、去年の写真と見比べながら配置していきます。早くコロナが落ち着いて、朝の読み聞かせの時間が戻り、子どもたちに本を読んであげられるようになるといいですね。
図書室の窓を悠々と泳ぐ「スイミー」子どもたち喜んでくれるかな。
仲間が集まると、協力していろんなことに挑戦できますね。
自作の絵本で読み聞かせをするメンバーもいます。(宮部さんの作品)
「わたし」
いろんな私がいて、どれも全部、私。
どんな私がたくさんだったら、素敵な私になれる? 選ぶのは私。と伝えています。
「ことのはおばけ けけけのけ」
言葉が相手にどんな思いをさせてしまうか、感じてもらう絵本です。
きたない言葉を使ったら、おばけの仲間になっちゃうよ。みんながうれしくなる言葉を使おうね。
心にやさしく語りかける2冊の手作り絵本。とっても素敵です。
それから、南小では6年生が卒業をする時に、図書ボランティアから2枚の「しおり」が贈られます。「子どもの時に読んでもらった本」と「大人になってつまずいた時に読んでほしい本」それぞれ10冊ぐらいを選書して、表に本の紹介、裏に本から抜粋した言葉を添えたものです。全て図書ボランティアの手作業で、手分けして全員分作ります。
なぜ6年生にしおりを贈るのかというと、それは「しおり」の語源に由来します。しおりは山道で道に迷わないように木の枝を折って道しるべにする「枝折る(しおる)」からきているのですが、卒業した後も本があなたの人生の道しるべになりますように… という思いを込めて、メッセージと共に毎年贈っているそうです(…感動!)
先輩の図書ボランティアから代々受け継がれたこの取り組みが、いつか、どこかで、何かの時に、子どもたちの心の支えになりますように…
前原南小学校の図書ボランティア「おはなしのたまご」は、子どもたちが本を通じて健やかな心を育むように、これからも愛情いっぱい、たくさんの物語を子どもたちに届けていきます。
図書ボランティアに興味がある人は、南小の教頭先生にお問い合わせください。