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家族との生活を大切にしながら、好きな仕事を続けていきたい

特集記事「糸島の母ちゃん数珠つなぎ」

「子育て期の女性=母ちゃん」が百人いれば、ライフスタイルや考え方は”百態百様”。地元で、地味に、地道に活動や仕事をしながら日常を生きる母ちゃんには、魅力と潜在能力と底力がいっぱいです。

そんな糸島の母ちゃんたちをフォーカスして数珠つなぎに紹介していきます。母ちゃんたち一人一人の生き方は、きっと誰かの道しるべになることでしょう。

数珠つなぎ 第6珠

みつもと さなえ             
三元 早苗さん
(4歳男児の母 /糸島歴9ヶ月)

出産・育児を経験し、フリーランスに。自然豊かな糸島への移住を決めました

―――これまでのキャリアや、やってきたことを教えてください。

福岡市内のデザイン事務所や百貨店などで、グラフィックデザイナー兼イラストレーターとして約20年働いていました。

出産後も仕事を続けていましたが、当時はとても忙しく、朝早くから保育園に子どもを預け、帰宅後も時間に追われるような生活でした。もっと子どもと向き合いたい、一緒に季節を感じる余裕を持ちたいという思いが強くなり、1年前に独立してフリーランスになりました。

ちょうど同じ時期に、夫が今津にあるシーカヤックのお店を知人から引き継ぐことになりました。もともとこのお店の客として家族で通い、毎週のようにお店や糸島の周辺を訪れていたんです。知り合った方から、糸島での暮らしについて話を聞くことも多く、実際の生活がなんとなくイメージできていました。そういった経緯もあり、お店の継承をきっかけに糸島への移住を決めました。

私はフリーランスとして場所を選ばず仕事ができるし、自然豊かな環境で子どもを育てたいと思っていたので、いろいろなタイミングがぴったりと合ったような気がします。

裏方としてでも、自分の技術を誰かのために役立てたい

―――今やっていること、力を入れていることはなんですか?

チラシデザインやイラストでボランティア活動のお手伝いをしています。困り事を抱える子育て家庭にお弁当を配布する「とりあえず食べんしゃい」など、糸島の活動にも携わりました。

ボランティアへの関わりは、以前知人からチャリティイベントのデザインを手伝ってほしいと声をかけられたのがきっかけでした。ご縁がつながって、被災地の子育て世帯に野菜を送る「糸島しましまプロジェクト」や「とりあえず食べんしゃい」などのボランティア活動を主宰する阪井さんからも話をいただきました。

もともと子どもが大好きで、子どもに関することをしたいと考えていたので、子どものためになる活動のお手伝いには特にやりがいを感じています。

妊娠中やまだ息子が小さい時期、何となく疎外感を感じる瞬間があったんですが、体力のない自分にもできることがある、誰かのためになっていると思えることが大きな励みになりました。裏方としてでも、自分の技術が何かの役に立てばうれしいです。一人一人ができることを少しずつ持ち寄って、人や活動がつながっていったら素敵だと思います。

それから、シーカヤックや海に関する知識を深めるため、少しずつ勉強しています。

私もお店の手伝いで、お客さんのサポートのため一緒に海に出ることがあります。参加者に子どもがいると、「この生き物、何?」「さっきより海の水が少なくなってるけどなんで?」など、どんどん質問が飛んでくるので、的確に答えられるようになりたいです。触ってはいけない生き物や風向きについてなど、海を安全に楽しむための知識も子どもたちに伝えていきたいですね。

自然に囲まれた暮らしの中で、価値観が変わりました

―――糸島での普段の暮らしや子どもとの過ごし方を教えてください。

以前は、都会での生活の方が便利で性に合っていると思っていました。でも、出産・育児を経験して価値観ががらりと変わりました。

苦手だった虫も、息子が捕まえたバッタやチョウをこわごわ触っているうちに、親しみが湧いてきました。自然の中で見る虫は不思議と怖くなくて、今では息子と一緒に観察を楽しんでいます。

以前はあまり興味がなかった土いじりも、自宅の庭にハーブを植えてみると、日々成長する様子がうれしくて。植物を育てるのは向いていないと思っていたのに、自分自身の変化に驚いています

食材に対する考え方も変わりましたね。糸島で生活する前は、旬の食材さえ知りませんでした。今は直売所に行けば旬のものがひと目で分かりますし、「今夜のおかずは魚」ではなくて、「アジ」や「イサキ」など、自然と魚の名前まで口にするようになりました。

分からないことがあってもすぐに誰かが教えてくれるから、どんどん興味が出てきて楽しくなります。糸島は人が温かくて、心地良く暮らしています。

自然の中で生き生きと遊ぶ子どもの姿を見るとうれしくなります

―――糸島で子育てしてよかったと思うのはどんなことですか?

息子は赤ちゃんの頃から海に慣れ親しんでいることもあり、海が大好きです。

季節を問わず浜遊びをしたり、のんびりシーカヤックをこいだりする時間を家族で楽しんでいます。思い立ったらすぐに海に行ける今の環境がありがたいですね。

平原歴史公園もお気に入りの場所。広い原っぱで虫を追いかけたり、かくれんぼをしたりして、いつまでも飽きずに遊んでいます。 糸島では、海の遊びも陸の遊びも思う存分経験させてあげられます。自然の中で生き生きと目を輝かせる息子を見るたび、ここを生活の拠点にして本当に良かったと感じます。

家族との生活を主軸にしながら、子どものお手本になるような生き方ができたら

―――今後糸島でどのように過ごしたいですか?

今の最大の目標は、家族との生活を主軸にした暮らし。フリーランスになってからも、お店を継いでからも、まだ日が浅く、忙しい毎日ですが、家族としっかり向き合って過ごしたいです。

子どもって本当にいろいろなことに興味を持って、こちらがびっくりすることばかり。どんどん成長する息子の様子を残しておきたくて、イラストで育児日記をつけています。

移住前は時間に追われる生活で、子どもに対して申し訳ないという気持ちがありました。だから今は、虫の声を聞いたり、葉っぱが大きくなる様子を観察したり、日々の小さな感動を一緒に味わう暮らしを大事にしたいと思います。

デザインの仕事も大切にしていきたいですね。育児などはまだまだ未熟な私ですが、仕事に打ち込んでいると、自分で自分を認めてあげられる気がするんです。それにやっぱり、この仕事が好きなんですね。

仕事やボランティアなど、好きなことをしながら生きている姿が、子どもの将来のお手本になったらいいなと思っています。やりたい事を自分で見つけられる環境づくりの手助けはしたいですが、親の考えを押し付けずに見守っていたいです。 糸島に移住して、いろいろな生き方があると感じました。楽しそうに生きている人が多いですよね。これからも出会いを大切にして、生き方の幅を広げられたらいいなと思っています。

―――次の人の紹介をお願いします!

布小物作家「bakeratta」として活動している吉田裕子さんです。

バッグなどの布小物を一つ一つ丁寧に制作・販売している、とてもパワフルで素敵な方です。私も吉田さんのバッグを愛用しているんですよ。

―――三元早苗さん、ありがとうございました!

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